高血圧に高脂血症

医師である私が測る血圧を「あてにするな」なんて意外ですよね(笑)。その理由は,マつです′。血圧は二四時間変動していますし、精神的な緊張でも簡単に上がってしまいます。ここで精神的な緊張について説明するために、少し神経の話をします。自律神経とは、我々が生命を維持するために必要ないろいろな機能をつかさどっている神経で、交感神経と副交感神経の二種類があります。交感神経は血圧を上げ、脈を速くし、興奮するタイプの神経です。副交感神経とは、その逆に血圧を下げ、脈をゆっくり、おだやかにする神経です。病院や健康診断などで高血圧と言われた方でも、二四時間連続血圧を測定すると全く異常のない場合が結構あります。

 

三年ほど前から高脂血症と高血圧の診断をある大病院で受け、二種類の薬を飲んでいました。もう症状が落ち着いているので、私のところへ紹介で来院されました。診察をさせていただくと全く動脈硬化がない。それなのに最近なにかだるくて具合が良くないそうです。血液検査をすると総コレステロール値が一五九(高脂血症は二二〇以上でしたよね)。〈なんだこりや……〉これは低コレステロール血症じゃないか。事実に気付いた私は、すぐコレステロールの薬をやめていただきました。次に家で測った血圧の値を聞くとやはり低い。上が一一〇くらいしかありません。ただ、病院で測るといつも血圧は高めだったそうです。

 

 

確かに三年前は高血圧に高脂血症だったのでしょうが、人の身体は刻々と変化します。忙しい大病院で主治医も頻繁に変わりますし、ありがちなケースかもしれません。やはり、家庭血圧、二四時間血圧の重要性を認識してください。医療は保険制度のおかげで全国どこでも(常識的には) 一律料金です。しかし、医療の「質」は一律ではありません。これは本質的な部分で、医者が技術職であることと、サービス業でもあることに関わっています。大きな病院だから信用できるということもありませんし、小さな医院だと良質な診察が期待できると言い切ることもできません。あるいは、ある分野に精通した病院だからといつて、ほかのどんな分野でも優秀だとは限りません。この逆に、ある分野についてあまり実績がなくても、別の分野では多大な功績を持つ病院もあるはずです。大きいと良い、小さいとダメ、とか、そういうことではないのです。ちなみに、イエスとノーだけで物事を考えることを「二項論」といいます。しかし現実はそれほど単純なものではなく、複雑なのです。二項論でものを考えるのはやめましょう。読者の皆さんも、医師に疑間に思ったことをどんどん口にすればよいのです。