コレステロールの効果と副作用

死に直結したこれらの怖い話も、血管の健康さえ保たれていればあまり心配する必要のない話題です。この本の最初に述べたように、私たちは不老不死を実現していませんから、老化に伴う動脈硬化を完全に防ぐことはできませんが、必要以上に「早く老いる」ことを防ぐことならば十分に可能というわけです。われわれの身体は、心臓や肝臓、胃や腸、筋肉や骨、そして皮膚や髪の毛にいたるまで、血管を通じて新陳代謝を行なっています。ということは、血管をいつまでも若く、きれいに保てば、胃腸も若々しく、食事もお酒もおいしく召し上がれてそれがまた元気の源になります。お肌だってつやつやと張りのある若々しい肌がずっと長く保てるはずなのです。ところがこの血管の若さに「待った」をかけるのが、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病です。これらの病気はお互いに深くかかわり合っていて、動脈硬化を進展させることによりお互いを悪くしあう(悪循環する)といった大変困った特徴があります。ここでは生活習慣病について、少しずつ説明してみましょう。最初に、高脂血症からです。高脂血症とは、血液中の脂質の比率が異常に高い状態のことをいいます。

 

血液は、赤血球、白血球、血小板、血漿から構成されていて、そのうち九〇%は水分です。この血漿から繊維を取り除いたものを「血清」といいます。この血清には、ホルモンやミネラル、そして脂質が含まれているのですが、高脂血症とは正確にいうと血漿中の脂肪分が多すぎる状態を指すのです。ここでいう脂質(脂肪分)には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の四つ(血清脂質といいます)があって、高脂血症とは、このうちどれかひとつでも(もちろん二つ以上でも)脂質の割合が増えすぎた状態、ともいえます。具体的な数字として、総コレステロール量が三二〇以上、中性脂肪が一五〇以上あるいはHDLIコレステロールという善玉コレステロールが四〇を下回ってしまうことなどが、高脂血症の診断基準です。細かくいうと「高コレステロール血症」と「高中性脂肪血症」の二つをもって高脂血症とまとめています。

 

ところで、コレステロールはわれわれの細胞の細胞膜やホルモンを作るのに非常に重要な物質です。コレステロールは主に肝臓で作られているのですが、小腸や皮膚でも作られ、食事で補給することもできます。また、コレステロールの多い食事をとると、肝臓で作られるコレステロールの量は少なくなるという関係があります。高脂血症などが問題視されるようになつて、コレステロール=身体に悪い、というイメージがあるようですが、それは間違いです。コレステロールにはさまざまな働きがあって、たとえば血管の壁をしなやかにして、丈夫にしているのもコレステロールの働きなのです。ですからコレステロールが低すぎると、血管が弱くなって脳卒中などが起きやすくなります。また、コレステロールは神経細胞を作るのにとても重要で、脳細胞(中枢神経)には一〇?三〇%のコレステロールが含まれていて、神経パルス(電気信号)がスムーズに流れるのを助けています。